バタフライエフェクト

Butterfly Effect

近代以降、人々が追い求めた富の追求は資源を大量に消費して成り立つものだった。それは地球を無限大の資源の宝庫としてとらえるものとも言える。だが近年の温暖化や線状降水帯に見られる異常気象を見れば、地球の包容力も限界に近づいていることがわかる。
今回のポスターでは当初はささやかなものと思われていたものが後々に大きな影響力を及ぼすという寓意の「バタフライエフェクト」をテーマにしてみた。飽くなき富の追求も地球規模からするとささやかなことと軽んじられてきたことが今の世界になっていると思うからだ。表現的にはそのテーマをマイナス面ではなくプラス面にとらえられるものにした。つまり、人々が意識を持って行動を起こせばささやかなものであってもその積み重ねがやがて世界を救っていくというところだ。
実際の制作にはB2の木枠を組み立てそこに格子状にテグスを張ったものをベースとして用意した。格子状の網は迫り来る限界点を表している。そこに蝶をシンプルな形にした紙を切り、陰影が美しく出るように配置していった。蝶は一人ひとりの人間の意思を表し、ささやかな羽ばたきがやがて力強く連帯して危機を乗り越えていっているところを表している。撮影はいつもお世話になっている室澤さん。今回もこちらの無理難題に快く応えてくださった。